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野谷恵 ピアノリサイタル〜優しい時間〜
自作曲目解説




◎ 野谷恵 ピアノリサイタル 〜優しい時間〜 ◎
2004年1月25日(日) 19:00開演 札幌コンサートホールKitara

曲目(下線のある曲=野谷恵自作曲はクリックすると下の解説に飛びます。)

▼野谷恵(自作): 古い街の記憶
   野谷恵(自作): 優しい時間
     野谷恵(自作): 風のゆくえ
       野谷恵(自作): 夜と夜明け
         野谷恵(自作): 流れゆく白い雲
           野谷恵(自作): 心の中の小さな嵐
▼ラフマニノフ: プレリュード 嬰ハ短調 Op.3-2、 
   ラフマニノフ: プレリュード 嬰ト短調 Op.32-12、
     ラフマニノフ: プレリュード ト短調 Op.23-5 
▼バッハ=ブゾーニ; シャコンヌ 二短調
▼リスト: 愛の夢第3番、
   リスト: 波を渡るパオラの聖フランシス


〜〜野谷恵 自作自演曲目解説〜〜

最初に何かのイメージがあって曲を作るよりは、曲を書きながら、あるいは弾きながら、
その音楽に導き出されるようにイメージが浮かんできて、徐々に明確になり、
曲が仕上がる頃には、どちらが先に存在したのか分からないくらい、
自分の中でしっくり馴染んだタイトルがついていることが多いです。
そのタイトルの意味を、少しずつご紹介します。( )内の数字は演奏順です。




(1)野谷恵作曲・・・・古い街の記憶

古い街・・・・小樽です。
20代前半の頃、友人に誘われて、小樽のヤマハの先生方の有志で作られた勉強会に
参加させてもらっていました。
月1回、小樽駅前のヤマハか、メンバーのレッスン室に集まって、
お互いの演奏を聴き合う、言わば非公開の演奏会のようなことをしていました。
そして年に1回、演奏会をしていました。
私が参加した演奏会は2回目から。
その第2回演奏会が開催されたのは、12月の寒い小樽でした。
でも、皆が本当に一生懸命で・・・・気持ちは熱かったです。

演奏経験も少なく、数日前からの発狂しそうな極度の緊張状態と戦いながら弾いたのは、
ショパンのスケルツォ第3番でした。
必死さのお蔭で、本番はのめり込み、con fuoco(with fire)という指示通り、
火を噴くような演奏だったと思います。

練習してもしても、緊張が解けなくて苦しかったことも、
沢山の人が札幌から来てくれて、そのご好意に感動したことも、
雪の小樽の、白い、きれいなイメージの中で、切ないほど純粋な思い出になっています。

曲はバスを長く残し、多声的で古い音楽のようにも感じますが、
切なくて・・・でも、熱く盛り上がるところもあり、結局ロマン派的でしょうか?
必死だった若い頃の思い出です。(今でも必死ですけど・・・・。)




(2)野谷恵作曲・・・・優しい時間

疲れた心が慰められるような「優しい時間」を、
分かりやすく、弾きやすいピアノ曲で作れたら・・・
と思って書きました。数年前の門下生コンサートで、
小学生の生徒が演奏してくれました。
長調ですが、時折ふと、短調に傾くところが自分では好きです。




(3)野谷恵作曲・・・・風のゆくえ

風は、目には見えないけれど、不思議な力があるような気がします。
両肩にのしかかる、重い悩みや心配事も、さあっと吹き抜ける一陣の風が、
払い落としたり、浄化してくれるように感じる事、ありませんか?

それとも、風に乗って、どこか遠くへ行ってみたいと、思った事ありませんか?
重い体は置いて、心だけ、風に乗って、どこまでも遠くへ・・・・・
そんなことを思わせる、「見えない風」のイメージです。

曲は右手のメロディーがいきなり1オクターブ上がり、左手のアルペジオの伴奏も
さあっと上行して、心を持ち上げてくれます。




(4)野谷恵作曲・・・・夜と夜明け

月もない暗い夜のように、思い切り、暗い曲です。基本的にはハ短調。
静かに始まり、吹き荒れる嵐のように激しくなり・・・
また静かに切なくなった後、最後の最後に、
「救い」の象徴のように、2小節だけ長調になって終わります。
最後の2小節が印象的だと思います。暗いのに、何故か好評でした。。。




(5)野谷恵作曲・・・・流れゆく白い雲
   (原題「流れてゆく白い雲」・・・某所で間違えて紹介され、それもいいかも、と変更、笑。)

この曲はまず、「易しくて、きれいな曲」を目指して書き始めました。
子供や、初心者の大人の人が苦労せずに弾けて、
それでいてチョット素敵な曲・・・。
そういう曲が書きたかったのです。
気持ちよく晴れた空に、ぽっかり浮かぶ白い雲のような、明るい穏やかなイメージと、
その雲が陽を翳らせて、一瞬肌寒い風が吹く様子、
そして、また陽がさして・・・青く澄んだ空の、きれいな白い雲は、遠くへ流れて行きます。

曲は調号のないハ長調で始まりますが、短調の響きがちらりと顔を覗かせます。
8分の6拍子のゆったりと流れる主要メロディーと、弾むリズム感の中間部からなる曲です。
中間のイ短調の部分では、和音の伴奏が、ちょっと難しそうに聴こえますが、
8小節に16個ある和音は、実は・・・たった2種類だけしかありません。

ハ長調の最初のメロディーに戻ってから、イ短調を経て、最後はイ長調で終わります。

赤いバイエルの途中程度でも十分に弾けるのですが、強弱や音色の表現を豊かにして
大人が弾いても楽しめる曲だと思います。




(6)野谷恵作曲・・・・心の中の小さな嵐

これは初心者の生徒用とは言えない曲です。かなり弾き難く、表現も難しいと思います。

頻繁に拍子が変わるように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、ずっと4分の4です。
右手か左手のどちらかが、ほとんど常に3連符で、その反対の手は偶数割りという形が
音符の値を色々に変えて現れます。

その3連符の効果で、不安定な、心乱れる、激しい感じの曲になっています。
途中で長調になり、明るく穏やかで、広々とした感じのメロディーが、
一瞬の希望か憧れのように聴こえますが・・・
不安定な音楽がまた繰り返された後、
それまでより遅いテンポで、切ない慰めのようなフレーズがたった一度聴こえ、
最後はまた激しく終わります。



↑皆様からのお花がびっしり並んだ廊下。ありがとうございます。
全部載せられなくて、すみません。。
また、お花以外にも色々頂き、ありがとうございました。
お菓子は美味しく頂き、コーヒー、紅茶等は長〜く楽しませて頂いています♪











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